SSブログ

第22回平塚祭 平塚市・神大交流20周年記念講演会より [大学祭の話題]

第22回平塚祭期間中の10/24(日)に行われた「平塚市・神奈川大学交流20周年記念講演会・パネルディスカッション」の記事が10/26(火)の神奈川新聞に掲載されました。Webサイト「カナロコ」でご覧になれます。

平塚市と神奈川大学が交流提携20周年で記念講演会、セブンサミッツ制覇の宮守さんも/湘南
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1010250027/

神奈川新聞の記事に少しばかり、私のメモを補って報告したいと思います。

山岳部元主将・宮守健太さん(理学部生物科学科2006年卒)のセブンサミッツ制覇報告は今までにも何度か聴かせてもらいましたが、今回は初めて下山時の遭難体験「標高8500メートルでの遭難体験記」が公の場で報告されました。この時の生還について宮守さんは「助かったのは運がよかったのではなくて、それまでに自分を支えてくれた人たちがいたから。人を信じる心が力を与えてくれた。」と言っていました。人々が不信になっている時代に、人を信じる心の大切さを訴えているように思えました。

後半のパネルディスカッションにて、最初に「里山をよみがえらせる会」代表の小清水四郎さんからこれまでの経緯について報告を頂きました。里山再生プロジェクトが始動したのは2000年の12月、神大との交流は2002年から始まったそうです。中島三千男学長は当時SHC担当の副学長で、横浜キャンパスから学生を連れて参加されていたそうです。11/13(土)にはSHC内にて里山の収穫祭が開催、更に2011年2月には神奈川県民ホールで里地里山講演会を予定されているとのことでした。

里山をよみがえらせる会(平塚・土屋)
http://www.geocities.jp/satoyamatutiya/

パネルディスカッションにおける印象的なスピーチを、発言者別にまとめて挙げておきます。

大藏律子・平塚市長
(司会の日野晶也・理学部教授より、平塚市の自然について話を振られました)
平塚市の自然について、里地里山は日本の原風景、土沢地区(※)はまさに里山であり、里山は生活のあった場所である。平塚にはオオタカが棲んでいるが、オオタカの生態を守れるということは里山で生産活動がなされていることである。この環境の保全には農業が産業として続けられることが大切で、土地の持ち主が里山を保全できるように支援を進めるのは行政の役目である。

(※)土沢地区=平塚市土屋・上吉沢(かみきさわ)・下吉沢(しもきさわ)の総称、SHCと「里山をよみがえらせる会・体験フィールド」は土沢地区にあります。

海老澤栄一・経営学部教授
人間と自然は近代化の中で対立してきた。里山の「里」は「田」と「土」の組み合わさったもの、これからについて「豊かさ」の見直し-心の豊かさへ-や、自然と社会の循環を提案する。
「豊かさ」は特定の学部で教えられるものではない。SHCにある理学部・経営学部の知的資源を共有して新学部を作れはしないだろうか?エコノミー・エコロジー・ソサイエティーを持たないといけないと思う。名前を付けるならば、「景観学部」があるといいのではないか?

小清水四郎・「里山をよみがえらせる会」代表
SHC内にある「土屋の杜」がほとんど知られていない。土屋の人ですら知らない人がいる。土屋の杜をもっとPRすべきである。この土屋の杜でイベントをやってはどうだろうか?2005年の土沢地区環境評価において、土屋の杜周辺はA評価を受けている。土屋の杜散策をして、その後厚生棟でお茶を飲んで、バスで帰っていくという散策ツアーを開いてはどうか?土屋の杜では紅葉が見られる。
自分は「自然の保護」とは声高に叫んではいない。自分たちの先祖は生活の一環として自然を保全してきており、これを次の世代に引き継ぎたい。

農業サークル「KAS」代表学生(理学部情報科学科)
入学した年に11号館の建設があり、それまで11号館の場所にあった畑がなくなった。代わりに与えられた土地は「地面」だったため、土地を一から作り直し、畑のできる土地に仕立てた。
里山の活動に参加して一番興味を持ったのは生き物だった。絶滅寸前のネズミを発見できたことが自分にとっては身近なことだと思えた。

中島三千男・神奈川大学学長
自分たちの世代は「多様性」などと言わなくても、自然との共生が当たり前だった。自分の母親は朝起きると、太陽に向かって祈っていた。台所でお湯を床に流す際には一呼吸置いて、台所にいた虫たちが逃げる時間を空けていた。今の時代は、そんな心が失われているのではないか?
教育は、人為的な教育だけではだめで、自然から感化されることが大事である。理学部では今、山野体験学習を実施しており、毎年100名程度が参加している。
先日、齊藤光實理学部長からSHCを自然学の拠点にしたいとの提案をもらった。エコキャンパス構想の一環として、SHCにもエクステンションセンターを開き、SHCでしかできないことをやりたいとの話だった。
SHCには簡易天文台(※1)や電子顕微鏡(※2)があり、さまざまな観察ができる。また、里山で使用している千歯こきやとうみなど、昔の農耕機具に触れるという体験から伝統文化を考えることにもつながる。伝統文化に関して神大には常民文化研究所があり、さまざまな学習につなげることができる。

(※1)簡易天文台=9号館(ハイテク・リサーチ・センター)脇にある天文台
(※2)電子顕微鏡=9号館(ハイテク・リサーチ・センター)内に設置されている


併せて中島学長は、「近年、いろんな大学が都心回帰傾向にあるが、SHCのような自然豊かなキャンパスが必要となる時期は再び来る。」と述べ、大藏市長は「SHCのような自然に恵まれた大学が、これからは大手を振るって欲しい」と述べました。
SHCの特徴を生かした取り組みを、ぜひ期待したいものです。

(うおり)
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。